尋常性乾癬
最も一般的な形態で、身体の広い範囲に症状が現れます。
乾癬は、免疫系の過剰反応が原因で起こる皮膚の慢性的な炎症を特徴とする自己炎症性疾患です。この病気の主な症状は、皮膚の赤み、肥厚、そしてカサカサした状態になることで、しばしばふけ状の鱗屑を伴います。症状は小さな皮疹(5mm〜1cm程度)から始まることが多いですが、徐々に拡大して10cmから20cmの大きな皮疹を形成することもあります。乾癬の好発部位には、頭部、耳、肘、膝、腰部など、摩擦や刺激を受けやすい箇所が含まれますが、症状は全身に広がる可能性もあります。さらに、爪の変形や小陥凹、関節痛やこわばりなどの関節症状を引き起こすこともあります。
当院は日本皮膚科学会から分子標的薬使用承認施設として認定されており、軽症から重症まで様々な乾癬患者さんに対して専門的な治療を提供しています。乾癬による皮膚のトラブルや不快感などに悩まされている方は、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
乾癬はさまざまな要因によって引き起こされ、遺伝的な傾向や生活習慣などの影響を受けることが報告されています。従来は皮膚だけの炎症性疾患と考えられていましたが、最近では皮膚以外のさまざまな全身の病気(心疾患、腎疾患、肝疾患、ぶどう膜炎、炎症性腸疾患、メタボリックシンドロームなど)とも関連していることが明らかとなりました。そのため、乾癬を「全身性の炎症性疾患の中の皮膚症状」として捉えるようになり、Psoriatic Disease(全身疾患としての乾癬)またはPsoriatic March(乾癬マーチ)と呼ばれています。
尋常性乾癬は遺伝的な要素が関与する可能性があり、家族歴があると発症リスクが高まると報告されています。また、特定の体質や免疫系の異常も関連しています。
生活習慣も尋常性乾癬に影響を与える要因の一つです。高血圧、肥満、脂質異常症、糖尿病などが病態に関連していることが報告されています。また、喫煙や飲酒なども影響を与えます。
乾癬は「尋常性乾癬」「乾癬性紅皮症」「関節症性乾癬」「膿疱性乾癬」の4つに分類されます。
最も一般的な形態で、身体の広い範囲に症状が現れます。
ほぼ全身に乾癬の皮膚症状が出現するため、全身が真っ赤になった状態のことです。
皮膚症状だけではなく、手のこわばりや関節痛などの関節症状が出現します。関節症状の出現前に皮膚症状が先に出現する場合もあるため、皮膚症状から早期に乾癬を診断し、関節症状が出現した場合には速やかに生物学的製剤・分子標的薬などの全身治療を行って関節の変形が生じないようにすることが重要と考えられています。
乾癬の皮膚症状に膿疱を合併します。発熱や倦怠感、肝機能障害や腎機能障害などの臓器障害を合併することがあり、重症例の場合には入院加療が必要となります。厚生労働省の指定難病に指定されています。
乾癬の治療法は、大きく外用療法、内服療法、光線療法、生物学的製剤・分子標的薬の4つに分類されます。皮疹の程度や範囲、QOLに与える影響、合併症などによって治療法が異なるため、患者さん毎に治療方針を相談して決定していく必要性があります。
●ステロイド外用薬
炎症を抑制し、かゆみや赤みを軽減します。
●ビタミンD3外用薬
表皮の角化異常(皮膚の盛り上がり、皮が剥がれ落ちる)を軽減させます。
●ステロイド+ビタミンD3外用薬の合剤
両者の合剤です。
●アプレミラスト(オテズラ)
免疫細胞が過剰に発現しているPDE4という酵素の働きを抑え、炎症性サイトカインを抑制し炎症反応を調整します(PDE4阻害薬)。主な副作用として頭痛や吐き気、下痢などが生じる場合があります。
●シクロスポリン
免疫細胞(リンパ球)に対して作用し、過剰な免疫反応を抑える働きがあります。主な副作用として高血圧、腎機能障害などが生じることがあるため、定期的な血液検査(シクロスポリン血中濃度など)が必要です。
●チガソン
免疫調節薬として使用します。表皮の角化異常を抑え、正常な表皮を再形成します。主な副作用として、手足の落屑、口唇炎が生じることがあます。また、催奇形性の報告があるため、服用時または服用中止後も、男性は6ヵ月、女性は2年間の避妊が必要です。
紫外線照射により過剰な免疫反応を調整し、炎症を改善させます。当院にはナローバンドUVB、エキシマライトという2つの波長の紫外線照射器があります。外用治療だけでは難治性の皮膚症状や爪症状に対して、光線療法を併用することで皮疹の改善に期待が持てます。
中等症〜重症の乾癬患者さんの治療に使用します。乾癬の病態に関連している炎症性サイトカインをブロックすることで、皮膚症状を改善させます。
現在、IL-17,IL-12/23, TNF-α, IL-36という炎症性サイトカインをブロックする生物学的製剤(注射製剤)、TYK2という物質を阻害する分子標的薬(内服薬)が存在します。これらの薬剤は導入前に血液検査や胸部画像検査などが必須であり、治療中も感染症などの副作用に注意しながら定期的なモニタリングが必要となります。
生物学的製剤・分子標的薬は、日本皮膚科学会の分子標的薬使用承認施設のみで治療が可能です。
当院は日本皮膚科学会に分子標的薬使用承認施設として認定されており、中等症〜重症の乾癬患者さんに対しても治療を行なっております。乾癬でお困りの患者さんはお気軽にご相談ください。
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